放射線治療・医学物理室
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1895年、X線がレントゲン博士によって発見され、その一年後にはX線による放射線治療がすでに始まったとされています。その後、放射線をがんに限局し、かつ正常な組織にはなるべく当たらない照射方法が進歩しました。現在では手術や化学療法とならぶがん治療の3本柱の一つとなっています。放射線治療の特長として、機能や形態を温存できること、身体への負担が少ないことが挙げられます。
当院では、X線と電子線という放射線を使って放射線治療を行っています。
X線は高いエネルギーをもつ電磁波(光や電波の仲間)、電子線は高い運動エネルギーをもつ粒子(目には見えない小さなつぶ)であり、どちらも「電離作用」をもつことが特徴になります。「電離作用」とは、放射線がある物質を通過する際、その物質を構成している原子や分子にエネルギーを与え、原子や分子から電子を分離させてイオンにする作用のことを言い、放射線治療にとって欠かせないものになります。
この電離作用によってがん細胞内のDNAが傷害され、死滅したり、増殖できなくなり、結果としてがんを治すことができます。
また電離作用を利用して、放射線の量も測定することができます。下の写真は、放射線治療装置リニアックから出力されるX線や電子線の放射線の量の測定風景になります。正確な放射線の量を照射できるよう、日々使用機器の品質管理を行っております。