血液疾患センター
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骨髄において形質細胞が単クローン性に増殖するリンパ系腫瘍です。
腎機能が悪くなったり、骨折しやすくなったりする特徴があります。若い人には少なく高齢者に多い疾患です。
多発性骨髄腫の症状
骨病変
骨がもろくなり(骨粗鬆症)、骨折しやすくなります。背骨の圧迫骨折などで病気がみつかることがあります。
血球減少
赤血球減少により貧血症状がでます。白血球減少により感染症をおこしやすくなります。血小板減少により出血しやすくなります。
腎機能障害
免疫グロブリンが原因の尿細管閉塞による骨髄腫腎という病態やアミロイド腎、骨髄腫細胞の腎臓への浸潤が原因になることもあります。
※原因不明な腎不全の精査中に多発性骨髄腫が原因であることが判明することもあります。
多発性骨髄腫の治療
病状、年齢などにより治療開始時期や治療法は変わります。主に化学療法・放射線治療・自家末梢血幹細胞移植などをおこないます。
化学療法、自家末梢血幹細胞移植
初回治療は、ボルテゾミブ、レナリドミドなどの新規薬剤といわれるお薬が使用されます。
また、骨髄腫の細胞表面にあるCD38(しーでぃーさーてぃーえいと)を標的にするCD38に対する抗体を点滴または皮下注射で投与します。
移植適応例では初回治療に続いて末梢血幹細胞採取がおこなわれ、そのあと高用量のメルファランを使用して末梢血幹細胞移植がおこなわれます。
※CD38(しーでぃーさーてぃーえいと)⋯リンパ球の表面にある抗原で、T細胞やB細胞、NK細胞、単球、形質細胞、胸腺髄質細胞などにあります。
疼痛コントロール
骨病変部位の痛みをとる目的で、局所に放射線治療をおこなうことがあります。
また、医療用麻薬を使用して痛みの緩和をおこないます。
※再発、難治例などではカルフィルゾミブ、エロツズマブ、パノビスタットなど新しい薬剤を使用することがあります。年齢など適応があれば、同種造血幹細胞移植をおこなうこともあります。