肝胆膵外科
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胆のうとは?
胆のうは肝臓の下に張り付くようにある袋状の臓器で、肝臓で作られた胆汁を蓄えたり、濃縮する働きがあります。胆汁は特に脂肪分の消化を助ける働きがあり、胆のうは必要に応じて収縮して、胆汁の流れ道(総胆管)を通して胆汁を十二指腸へ送り出し食物の消化を助けます。
胆石症について
胆石症とは胆のうや胆管にできた石により痛みや黄疸、発熱など様々な症状を引き起こす病気の総称であり、結石の存在する部位により、胆のう結石、総胆管結石、肝内結石と呼ばれます。一般的には胆のうの中に結石ができる胆のう結石を胆石と呼んでいます。10人に1人は胆石をもっているといわれています。胆石は成因についてはいろいろな要素が関与しますが、体質や食生活が主な原因とされています。
胆石の症状
胆石発作といわれるものとしては心窩部、右上腹部を中心とした激しい痛みが典型的で、これに右肩や背中の痛みを伴う場合があります。発作は脂肪の多い食事を摂ったあとや、食べ過ぎたあとの夜中に起きやすいという特徴があります。
炎症がくわわると発熱がみられ、胆汁は排出が滞ると黄疸や肝障害が出現します。
胆のうポリープについて
胆のうの中に隆起した病変(ポリープ)を認める病気です。多くはコレステロールポリープで経過観察可能ですが、大きさが10mmを超えると胆嚢がんを認めることがあり、手術(胆嚢摘出術)が必要となります。
血液検査
胆石発作、胆のう炎に伴って血液検査で炎症反応や肝胆道系酵素(AST,ALT,ALP,γ-GTP)の上昇を認めます。胆のうから総胆管に結石が落下すると(総胆管結石)、ビリルビンやアミラーゼの数値が上昇することがあります。
画像検査
腹部超音波検査
最も標準的な方法であり結石の描出が可能
腹部CT検査
石灰化結石の描出や胆のう周囲の炎症を診断
DIC-CT、MRCP
総胆管結石の有無、胆道系の走行の確認に用いられます。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP)
総胆管結石が強く疑われる場合に診断と結石の除去をおこないます。
胆石症、胆のうポリープの手術について
胆石症、胆のうポリープに対して胆のう摘出術をおこないます。従来おこなわわれていた開腹手術と現在主流となっている腹腔鏡手術があります。当院では基本的に腹腔鏡下胆嚢摘出術をおこなっています。
腹腔鏡下胆のう摘出術とは
腹部に3~4か所の穴を開け、その穴から内視鏡や手術鉗子を挿入し、胆のうを摘出する方法です。この方法は傷が小さく、痛みが少ないため回復が非常に早いという利点がありますが、開腹手術の既往のある方、癒着のひどい場合や、胆のうの炎症が強い場合はおこなえないこともあります。手術時間は60分~90分程度です(炎症の程度で延長します)。
入院期間は5日間くらいです(開腹手術への移行や、合併症により延長する場合があります)。
当科の特徴
急性胆嚢炎では発症早期の手術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)が推奨されています。
当科では消化器内科、麻酔科、手術室と密接に連携し、可能な限り緊急での手術をおこなうことで、治療期間、入院期間の短縮をはかっています。