消化器外科
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食道がんについて
食道粘膜よりできるがんで、進行すると周囲臓器へ浸潤すると同時に周囲のリンパ節や肝臓、肺に転移をきたします。
治療は、大きく分類すると、内視鏡治療、手術治療、化学放射線治療、化学療法に分けられます。
食道がんに対する治療は、基本的に臨床ステージに基づいて決定します
臨床ステージ分類
臨床ステージ0あるいは1 | がんが粘膜下層までにとどまり、かつ画像上リンパ節転移のないもの |
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臨床ステージ2,3 | がんが切除可能であるが、画像上リンパ節転移を認めるもの |
臨床ステージ4a | がんが周囲臓器に浸潤しているもの |
臨床ステージ4b | 肝臓などの他臓器に転移を認めるもの |
当院での食道がんに対する治療方針(下図)
当院の食道がん治療の特色
食道がんの外科治療は胸部・腹部・頸部の3領域をおこなう高侵襲の治療です。そのため術後の合併症発生率も高く、入院期間も2か月以上の長期になることがあります。
すなわち、安全な外科治療をおこなうこと、また、過大侵襲となる手術を回避することが重要です。
- 安全かつ術後のQIOLを考慮した外科治療
- 薬物療法や放射線療法を組み合わせた集学的治療
であり、胃がんと同様にICIが食道がんにも適応となり、薬物療法成績が向上しています。
当院では、積極的に薬物療法や放射線療法を駆使しつつリハビリテーションを積極的にすすめQOLを保つことを第一に治療をおこなってまいります
手術療法
手術は、基本的に胸腔鏡を用いた低侵襲手術をおこなっています。食道と周囲リンパ節をほぼ切除し、胃管を用いて再建します。
胸腔鏡手術は傷が小さく、術後の痛みも軽減されます。
腹部操作も腹腔鏡を用いておこないます。
薬物療法
当院では、薬物療法としてこれまでの抗がん剤に加え、免疫チェックポイント阻害剤による治療(免疫療法)もおこなっています。免疫療法に関する副作用が出現した場合も、院内で専門家による治療をおこなっております。
放射線治療
食道がんに対する放射線治療には、抗がん剤と組み合わせる化学放射線治療と単独放射線療法があります。当院では、最新式の放射線照射装置を導入しており、放射線治療専門医が治療をおこないます。
①臨床ステージ1に対する根治的化学放射線療法は、手術と並んで標準治療に位置付けられています。
②切除不能局所進行食道がんに対する化学放射線療法の奏効率は42%と優れた治療効果が示されています。
食道ステント療法
根治切除が不能な食道悪性狭窄やがんが気管や気管支に浸潤して瘻孔を形成している場合が適応になります。消化器内科と相談して治療をおこないます。