消化器内科
主な治療胃がんについて一覧に戻る
危険因子
- 高塩分の食品(漬物、味噌汁、ひもの)
- 喫煙
- 飲酒
- ヘリコバクター・ピロリ感染
胃がんと予防
- 高塩分の食品を控えること
- 禁煙
- 野菜や果物の摂取
- ピロリ菌を持っている人は除菌療法を行い、定期的に胃がん検診を受けること
胃がんは胃にピロリ菌が感染し、数十年をかけ萎縮性胃炎が発生し、それががん化の原因であることが解明され、現在ではピロリ菌の感染がなければ、胃がんの発症は稀だと考えられています。
2013年2月に萎縮性胃炎に対するピロリ菌の除菌療法が保険収載され胃がんの予防が広く知られるようになりました。ただし、除菌に成功すると胃がん発症は抑制されるものの、除菌を行えば胃がんにならないという訳ではありません。除菌後胃がんの全国アンケート結果(「胃がんリスク検診(ABC検診)マニュアル・2014.11改訂2版(南山堂)」より)をみると、除菌後に胃がんの48%(約50%)が3年以内に発見され、34%(約35%)が5年以降に発見されています。除菌では萎縮性胃炎は治らないので、がん発生率は減少しますが、除菌後も計画的な経過観察が必要です。
診断方法
血液検査
CEA、CA19-9などの主要マーカー検査です。“がん”があっても数値があがるわけではなく、正常や良性疾患でも上昇することがあります。
内視鏡検査(胃カメラ)
胃の内部を直接見ることで病変の場所、範囲などがわかります。病変があれば生検を行うことで、病理検査ができます。
※当院では、希望に応じて検査の苦痛を軽減する目的で、鎮静剤(眠くなるお薬)の静脈内注射を実施しています。
胃X線検査(バリウム)
バリウムを飲んで、胃の形や粘膜の状態をX線写真で確認する検査です。
病理検査・病理診断
内視鏡で生検した検体をもとに、がん細胞があるかどうか、どのような種類のがん細胞があるかを顕微鏡を使って調べます。胃がんの病理検査はGroup分類されます。
CT検査
X線を使用して、体の断層写真を撮影します。治療前の病変の浸潤、転移の程度を調べたり、治療後の効果、再発の有無を調べます。
※その他、PET-CT、腹部超音波検査、超音波内視鏡検査などの診断方法があります。
早期胃がんの内視鏡治療
内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection; EMR)
以前に多く行われていた手法です。技術的には容易ですが、小さな病変でも一括切除できないことがあり、治療後の再発率も高くみられました。
内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection; ESD)
従来、早期胃がんに対して内視鏡的粘膜切除術が行われてきました。この方法は、スネアと呼ばれる金属の輪で腫瘍を切除するため、 一度に切除できる範囲が小さく(スネア径の範囲のみの切除)、大きな病変では数回に分けて切除する必要がありました。適応にも限界があり、分割切除となることがあったため、がんの再発も散見されてきました。
しかし、処置具の進歩により広範囲に粘膜を切除できる内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が開発され、内視鏡治療に革命がもたらされました。
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、ITナイフやフラッシュナイフといった小さな電気メスで病変周囲の粘膜を切開した後、粘膜下層を剥離し、病変を切除する方法で病変を一括切除できる確実な内視鏡治療です。
①電気メスで病変周囲にマークをつけます。
②病変の下に生理食塩水を注射し、粘膜を浮き上がらせます。
③電気メスで切開・剥離を行います。
④切除できた病変を顕微鏡検査に提出し、最終診断を行います。