外科・肝胆膵外科・消化管外科
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当科では胃がん治療ガイドラインに基づき、かつ最新の知見を取り入れ治療方針を決定しております。治療方針は上部消化管グループカンファレンス 、 消化器外科カンファレンスを経て個々の患者さんにとって最適な治療方法を決定します。
2022年の胃がん手術のうち、その98%がロボット手術であり、大阪府下でも有数の手術件数でした。
手術
胃がんの術後はどうしても食事がとりにくくなることが多いため、われわれは少しでも胃を残すよう手術の工夫をしております。幽門側胃切除(胃の3分の1が残ります)、噴門側胃切除(胃の下半分が残ります)、幽門保存胃切除(胃の上部と下部が残ります) などの胃を温存する手術もロボット/腹腔鏡(下写真)を用いて行います。
手術の後、食事摂取にスムーズに慣れていただくため、入院中に栄養士による栄養指導を受けていただきます。そして胃粘膜下腫瘍(GISTなど)に対しては、消化器内科と協力して腹腔鏡下内視鏡下合同手術を行っており、できるだけ切除範囲を小さくします。
一方、進行した胃がんに対しては、すぐに手術治療を行うよりもむしろ手術前後に抗がん剤を併用することで治療効果をあげる、集学的治療を行っております。
当科では術前から手術、そして術後の化学療法まで、経過観察期間が終了するまで、外科の担当チームが一貫して治療やフォローを行います。その理由は胃切除術後の病態は手術を担当した外科医であるからこそ理解できる部分があると考えているからです。
手術と術後の化学療法を同一チームが担当することによって、患者さんの病態をしっかり把握することができ、最適な治療方法を提供します。
初診から手術、退院までの流れ
外科初診後2週間以内に手術治療を行えるよう日程を調整します。手術日1-2日前に入院していただき、術後経過が順調である場合、約2週間の入院になります。心臓に持病がある方や糖尿病の方は、きちんと手術準備をする必要があるため、手術前に入院していただく場合があります。その場合、入院期間が延長する場合があります。
化学療法
胃がんに対する治療法の中心は手術治療ですが、病態によっては術前術後の化学療法、もしくは化学療法が必要になることがあります。
前述のように、胃切除術後は食事の摂取方法をはじめ、患者さんの病態が変化することが多く、手術を担当した外科医だからこそ理解できる部分があります。
術前から術後の化学療法まで同一のチームもしくは担当医が担当することでそれぞれの患者さんにあった個別化医療が提供可能であると考えております。
コンバージョン手術
当科では切除不能進行胃がんに対して根治を目指してコンバージョン手術を行います。コンバージョン手術とは切除不能であったが、化学療法により一定の腫瘍効果が得られかつ奏功が維持され、根治切除が可能となった状態で行う手術のことです。近年、分子標的薬を含めた抗がん薬治療の効果によって切除可能となり、がんを遺残なく切除することで長期生存(≒治癒)が可能となる症例が多くみられるようになりました。切除不能進行胃がんと診断された場合でも、化学療法の効果によって根治切除が可能になることがあります。ぜひ当科にご相談ください。
特色
当科の特色はロボット支援下手術です。2019年11月以降胃がんに対してロボット支援下手術を導入しました。ロボット手術はおなかに5か所の小さな穴をあけて、そこから高精度カメラやロボットアームを挿入して専門の外科医師が操作します。
ロボット手術を含む腹腔鏡手術は、傷が小さく整容的に優れている点や、手術侵襲による負担が少なく術後の回復が早い点、それに加え最大の利点である腹腔鏡がもつ拡大視効果(より近接した精密な画像)を利用することで、繊細で緻密な手術を行うことができます。腹腔鏡手術の一般的な欠点は手術の難易度が開腹手術に比べ高いことや手術時間が延長することですが、医師、看護師、臨床工学技士を含む胃がんチームが協力することによってそれらの欠点を克服します。
当科では日本内視鏡外科学会が認定する胃がんの内視鏡外科技術認定医が2名おり、ロボット支援手術プロクター(指導医)が1名在籍しております。
ロボット支援下手術はその専門医が担当しますので質の高い手術を提供します。
ロボット手術による低侵襲手術によって、なるべく全身の状態を悪化させることなくその次の治療につなげることが可能です。