総合整形外科
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できもの(腫瘍)があれば、専門医にご相談ください!
できもの(腫瘍)には良性と悪性(がん)があります。良性は命に直結しないもの、悪性(がん)は命に直結するものです。
がんには、①癌、②血液がん、③肉腫があります。癌は主に内臓にできるがん、肉腫は骨や軟部組織(筋肉、脂肪、血管、神経など)にできるがんです。
2人に1人が「がん」になる時代となり、骨転移が増えています。骨転移は、がん治療や日常生活を左右するほど大きな影響がありますので、ケアと治療がとても大切になります。
がんになったら終わりというイメージが強いですが、治療も進歩しており、5年生存率は70%近くまで伸びています(昭和50年頃は30%でした)。大腿骨近位部骨折(脚の付け根の骨折)の5年生存率が60%に及ばないことを考えると、「がん=死」ではなくなっているのかもしれません。
だからこそ、できもの(腫瘍)に気付いたとき、怖がらず、逃げずに専門医に相談してください。対処が早ければ早いほど、救われることは間違いありません。
当科では、診察や検査で的確な診断を行い、迅速に適切な治療を行います。
当院で行う主な治療
肉腫の場合は、①抗がん剤、②手術、③放射線をうまく組み合わせる集学的治療を行います。骨転移の場合は、原発(転移の親分であるもともとのがん)に対する治療と平行して、ケアと集学的治療を組み合わせ、「動ける」「生活できる」トータルマネジメントを行います。
抗がん剤は全身のがんに対する治療で、がん細胞を徹底的にやっつけるお薬(細胞障害性抗がん剤)、がん細胞を選択してやっつけるお薬(分子標的治療薬)、免疫を利用してがん細胞をやっつけるお薬(免疫チェックポイント阻害薬)があります。手術と放射線は特定の部位のがんに対する治療で、がんの勢いをコントロールしたり、「動く」「生活する」ために行います。
抗がん剤治療
- ADM(アドリアマイシン)+IFO(イフォスファミド):AI
- Gem(ゲムシタビン)+Doce(ドセタキセル):GD
- VLB(ビンブラスチン)+MTX(メソトレキセート)
- HD-IFO:高用量IFO(イフォスファミド)
- エリブリン(ハラヴェン®)
- トラベクテジン(ヨンデリス®)
- パゾパニブ(ヴォトリエント®)
- ニボルマブ(オプジーボ®)
- ペムブロリズマブ(キイトルーダ®)
などを行います。
手術
- 腫瘍切除術(悪性腫瘍広範切除術など)
- 機能再建術(腫瘍用人工関節置換術、術中体外照射自家骨移植術、筋皮弁移植術など)
良性の場合はできる限り腫瘍だけを切除しますが、悪性の場合は腫瘍のまわりに広がったがん細胞も含めて広範囲に切除します。病状や生活に応じて、がんを切除する、あるいは機能を温存する、再獲得することを目指して最適と判断する手術を行います。
放射線治療
腫瘍を完全にやっつけるために行う場合もあれば、痛みを和らげるため、がんの勢いを抑えるために行う場合もあります。手術や抗がん剤とうまく組み合わせることで効果を高めることができます。
骨転移に対するトータルマネジメント
骨転移は、できる限り早めのケアと治療が奏功します。限られた医療者だけでなく、多くの専門職が介入するチーム医療が実践されると、身体的、精神的、社会的な苦痛が緩和され、心身ともに豊かなキャンサージャーニー(がんの旅路)を歩むことができます。
「がん」だから仕方がないと思ってあきらめていませんか?
「痛い」「動けない」「生活できない」原因が、①がん自体による(骨転移など)、②がんの治療による(副作用や合併症による神経障害や脆弱性骨折、廃用など)、③がんに併存する別の病気による(痛風や変形性関節症、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症など)ことがあり、一概にがんのせいとは限りません(がんとロコモティブシンドローム:がんロコモ)。「がん」というフレーズに惑わされずに原因を追及すれば、ひょっとすると痛みが和らぎ、もっと動けるようになるかもしれません。
できもの(腫瘍)があれば、大きさや症状に関わらず、早めに専門医の受診をお勧めします。
「生きる(延命)よりも活きる(生活)」「治療のために生きるのではなく、活きるために治療する」を実践し、心身ともに豊かな生活の支援を医療で提供できれば幸いです。
大阪大学整形外科 腫瘍グループ
個々の社会生活に応じ、適切な治療ができるよう、関連施設で連携しています。
大阪北部:大阪大学医学部附属病院
大阪市内:大阪国際がんセンター、大阪医療センター
大阪南部:ベルランド総合病院