中央検査部
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細菌検査は人体から採取された様々な検体を培養し、病原菌が存在するのか、また存在する場合はどの抗菌薬に対して感受性がある(効果がある)のかを把握するために必要な検査です。
細菌検査以外にもICT(Infection Control Team:感染制御チーム)に参加し、院内感染を防ぐ活動をサポートしています。
業務内容
- 検体塗抹、各種培養結果の確認と返却
- ICTラウンドへのデータ提出と参加
- POT法の実施と解析
- JANIS(厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業)への参加
- 測定機器のメンテナンス
- 内部精度管理
- 外部精度管理(日本臨床検査技師会、企業主催等)
測定装置
微生物感受性分析装置(Phoenix 100)
人体から採取された検体を培地に塗抹し、得られた細菌の集落(コロニー)を用いて薬剤感受性試験を行うことで検出された病原菌がどの抗菌薬に対して感受性がある(効果がある)のかを調べることができます。
その結果を参考にすることで、最適な抗菌薬の選択を行うことが可能になります。
グラム染色、抗酸菌染色(顕微鏡観察)
培養検査は通常2~3日、結核菌を含めた抗酸菌は8週間程度必要とします。
それに対し、検査技師が顕微鏡を用いて検体の中に菌が存在するのかを観察する染色検査では通常の菌で30分、結核菌を含めた抗酸菌でも1時間程で結果を出すことが可能です。
染色検査はあくまで培養検査の補助にすぎませんが、起因菌の推定ができ、培養検査よりも早く結果が出るため感染症の初期治療を効果的に行うことが可能になります。
血液培養自動分析装置(BACTEC FX、BACTEC 9050)
通常人体に流れている血液には細菌や真菌(カビ)などは存在しませんが、免疫力の低下した方等では人体の様々な部位から血液中に細菌等が侵入し、重篤化する場合があります。
この装置では専用のボトルに採取された血液を24時間体制で監視し、細菌等の発育を検出した際にはすぐに検査技師が染色検査、検体塗抹、臨床側への報告を行います。そうすることで迅速な初期治療が可能になり、また最終的には抗菌薬の感受性試験も行うため、より効果的な治療を行うことが可能になります。
POT解析(ジーンアトラスE02、Mupid-exu)
病院内には様々な細菌が存在し、時としてそれらが患者様へ感染(院内感染)を起こすことがあります。その中でも医療従事者の手指や様々な医療機器等を介した感染を交差感染と呼び、これらは医療従事者がアルコール製剤を用いた手指衛生や環境清掃を的確に行うことで防ぐことが可能になります。
当院で実施しているPOT解析では、院内感染において代表的な細菌であるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の遺伝子型を解析し、検体から検出されたMRSAの遺伝子型が一致するかどうかを確認します。遺伝子型が一致した場合は交差感染が起こっている可能性が高いため、ICTを通じて結果を対象部署に報告し、手指衛生の徹底などの指導を行います。そうすることでその後の交差感染を防ぎ、患者様が感染症に罹患するリスクを低下させることが可能になります。