循環器内科・冠疾患内科
主な治療・検査PFO 卵円孔開存閉鎖術一覧に戻る
卵円孔とは?
心臓の右心房と左心房の間の壁(心房中隔)の中央に組織が折り重なり合うようにできた穴です。通常は出生後自然閉鎖しますが、成長後も閉じずに残っている場合があり、この状態を卵円孔開存といいます。成人の3〜4人に1人は存在するといわれます。
卵円孔開存と脳梗塞の関係について
関係がないとされていますが、咳や排便など腹圧がかかる時に、卵円孔を介し右心房から左心房に血液が流れ込む場合があります。
この際に、足などの静脈に出来た血栓が一緒に卵円孔を通過して脳に達し脳梗塞を引き起こす事があります。このような脳梗塞を動脈硬化による脳梗塞と区別して奇異性脳塞栓と呼び、全脳梗塞の5%程度で比較的若年者に多いとされています。
治療について
治療に用いる機器は医療用の布で覆われた丸い金属のメッシュのディスクを2枚重ねて構成されています。治療は手術室で全身麻酔下に行います。経食道心エコー(以下TEE)で心臓内の様子を観察しながら行います。
①右鼠径部の静脈を穿刺した後に、カテーテルを挿入し心臓へ到達し、開存した卵円孔を通過させ左心房へ誘導します。
②治療に使用する機器をカテーテル を用い誘導します。この時、機器 はカテーテルの管の中に折りたたまれた状態で運ばれます。TEE、X線透視下で留置位置を確認し、まずは左房側からディスクを展開、次に右房側のディスクも展開し留置します。
③留置後はカテーテルを体外に抜き穿刺部を圧迫し終了します。手技時間は1〜2時間程で、入院期間は4〜5日間ほどです。
治療のメリット
卵円孔開存を閉鎖する事で、脳梗塞や全身の血栓塞栓症再発予防を期待するものです。奇異性脳塞栓の患者さんでは再発予防で血液をさらさらにする薬(バイアスピリン、ワーファリン、新規抗凝固薬など)を使用し血栓作成を予防する治療が行われていました。
卵円孔開存をカテーテル治療で閉鎖することで、上記内服薬単独による治療よりも脳梗塞の再発予防効果が高いことが臨床試験で証明されています。