患者さんの権利と責務
患者さんの権利
ベルランド総合病院は、受診される皆様が、以下の権利を有することを確認し尊重します。
- 人間としての尊厳をもって医療を受ける権利
- 全病院的な協力による最善の医療および健康教育を受ける権利
- 自らの心身の状況を理解するために病院から必要な情報を得る権利
- 医療サービスの内容および結果、予後、病状経過などについて説明を受ける権利
- 診療のすべての過程で他施設の医療者の意見を求める権利
- 病院から必要な情報、説明を得たうえで、自己の自由な意思に基づいて医療を受け、あるいは選択し、拒否する権利
- 医学研究あるいは医学教育に参加することを拒否する権利
- プライバシーの保護を受ける権利
- 医療費の報告および医療費の公的援助に関する情報
院内特別規則
次のような人は、当院への立ち入りを禁止(受診を拒絶)し、院外へ退去(強制的に退院)していただくことがあります。
- 犯罪行為を行って当院の関係者に迷惑をかけた人
- 暴力を振るったり、大声で怒鳴ったり、わめくなどして暴力を振るうおそれが強い人
- 暴言を吐いたり、脅迫した人
- 職員を誹謗中傷したり、侮辱した人
- 職員に対して、不当または非常識な要求をした人
- 暴力団などの反社会的団体を名乗り、脅迫したり、無理な要求をした人
- 院内の機器、備品、設備、施設を故意に壊した人
- 診察や治療に必要のない凶器や危険物を持ち込んだ人
- 用件がないのに、職員の承諾を得ずに院内に立ち入った人
- 院内でセクシュアルハラスメントやストーカー行為を行った人
- 当院の規則(院内禁酒、酒気帯び入院・受診の禁止、無断外出・無断外泊の禁止、院内禁煙、院内での無断撮影の禁止)または入院病棟の取り決めを守らない人
- 医師または職員の指示や約束を守らない人
- 正当な理由がなく治療費を長期滞納したり、支払わない人
院内とは病院敷地内すべてをいう。
平成24年4月1日制定 ベルランド総合病院 院長
輸血を拒否される方へ
ベルランド総合病院では、宗教上の理由による輸血拒否に対し、「相対的無輸血※1」の方針に基づき、以下のように対応いたします。
- 無輸血治療のために最善の努力をつくしますが、輸血により生命の危険が回避できる可能性があると判断した場合には輸血を実施いたします。その際、輸血同意書が得られない場合でも輸血を実施いたします。
- 宗教上の理由で輸血を拒否する信者(エホバの証人など)の信者の方が提示される「免責証書」など、「絶対的無輸血※2」に同意する文書には、署名はいたしません。
- すべての手術や出血する可能性のある治療には輸血をともなう可能性があり、輸血拒否により手術・治療の同意書が得られない場合であっても、救命のための緊急手術・治療が必要な場合は手術・治療を実施いたします。
- 以上の方針は、患者さんの意識の有無、成年・未成年の別にかかわらず適用します。
- 自己決定が可能な患者さん、保護者または代理人に対しては、当院の方針を十分に説明し理解を得る努力をしますが、どうしても同意が得られず、治療に時間的余裕がある場合は、他医での治療をおすすめします。
- 【相対的無輸血】患者の意思を尊重して可能な限り無輸血治療に努力するが、「輸血以外の救命手段がない」事態に至った時には輸血をするという立場・考え方。
- 【絶対的無輸血】患者の意思を尊重し、たとえいかなる事態になっても輸血をしないという立場・考え方。
病院長
人生の最終段階の医療とケアに関する話し合いの指針
1.基本的な考え方
人生の最終段階とは、「回復の見込みのない疾患のため、死が避けられない状態」の時期であり、「高齢による身体の脆弱化」や「治癒困難で生命を脅かす疾患」、のために、余命が限られたものとなった時期である。
人生の最終段階において医療とケアを受けるうえで多くの人が重要と考えることは、からだや心の苦痛がないこと、希望する場所で過ごすこと、家族や周囲の人に負担をかけないこと、身の回りのことが自分でできること、希望や楽しみを持って過ごすこと、納得がいくまで治療を受けられること、自然な形で最期を迎えられること、などである。
しかし、病状の進行に伴ってこれらの要素を全て実現することは次第に困難となる。身体的、精神的、心理的、社会的にも不安定な人生の最終段階においては、その人のこれまでの生き方や考え方(本人の人生観・価値観)を医療者が理解したうえで、本人と家族を含めた話し合いによって、優先すべき目標が設定され、その時々の病状に応じて話し合いを繰り返し行うことで医療とケアの見直しがなされることが求められる。
人生の最終段階において、本人と家族が可能な限り希望に沿った生活を送ることができ、その上で、できるだけ納得できる形で最期を迎えられるよう支援することが、この指針の目標である。
この指針は「人生の最終段階における医療・ケアの 決定プロセスに関するガイドライン 厚生労働省 平成30年3月改訂」に準ずる
2.具体的な話し合いの行い方
(1)人生の最終段階の判断
加齢や疾患に伴う身体機能の低下とそれに伴って必要とされる医療の程度の変化をもとにして、人生の最終段階の判断を行う。すなわち、身体機能の低下が進行し、「今後起こりうる合併症や病状の悪化を乗り越えることが難しい可能性がある」、「今後半年〜1年の間に死亡したとしても驚きではない」と医療者が判断した場合に、人生の最終段階が近づいていることを本人・家族と共有し、話し合いが行えるように働きかけるものとする。
<最終段階に近いと判断される身体状況の例>
- 食事や着替え、外出を一人で行うことが困難になったとき
- 誤嚥性肺炎によって入院が必要となったとき
- 原疾患の悪化や合併症によって1年に2回以上の入院を行うようになったとき
- 食欲が低下し、輸液や経管栄養を継続する必要が生じたとき
- 原疾患治療の継続が今後困難と予測される場合やその治療が希望をかけるような治療になっているようなとき
介護保険施設入所中、療養型病院入院中、在宅で介護保険サービスを利用している患者、認知症患者、進行がん再発がん患者、慢性臓器不全(慢性心不全、慢性呼吸不全、人工透析患者、)患者、多疾患併存高齢患者は、おおよそ全ての人がこの段階にあると考えられる。
(2)話し合うタイミング
身体機能低下に伴う合併症等によって入院した直後や、発熱や呼吸困難などの苦痛症状が強い時期は、本人も家族も現在のことで手一杯であり、将来のことを話し合う余裕はない。合併症への治療によっていったん症状が改善したときが、今後の変化に備えた話し合いを行うべきベストのタイミングである。
当院においては、原則として、当院退院する前に最初の話し合いを行うものとする。入院継続中の場合は、何らかの体調変化が起こった後に症状がやや落ち着いた時期に話し合いを行う。その後、命に関わるような合併症が生じる可能性が高くなった時期に再度話し合う。このように、機会をみて繰り返し話し合いを行うことが重要である。
(3)話し合いの準備と場の設定
医師が身体状況の変化や検査結果をもとにして医学的な見立てを行うとともに、本人が置かれている状況(ADL・家族構成・経済的な状況・住居の状態etc.)を医療チームとして把握し、今後の方針を話し合う場に誰が参加すべきかの判断を行う。決して、本人だけとか家族だけに話すようなことはしない。(特別な状況下で、面会制限の状態であっても、オンラインツールなどを利用し本人が信頼する家族に参加してもらう)
その後、本人と参加する家族に対して、将来体調が悪化した時に備えてどのような治療やケアを行うことを希望されているかを話し合う機会を設けたいことを説明し、場の設定を行うとともに、本人と家族が話し合いの準備を行うことを促す。
ここで示す家族とは、戸籍上の家族だけではなく、本人にとって家族と考える人が家族である
(4)話し合いの進め方
まず、医師やその他の医療者が必要な情報の提供と説明を行う。医師による今後の病状変化や予後予測に加え、食事・移動・入浴・排泄などについてどのような支援が必要なのかを医師以外の職種が説明を行うようにする。
次に、本人と家族から、これまでの生活、行ってきた治療、現在の体調、今後の希望をどう考えているかを聞き取る。今後の生活の中で、どこで過ごしたいのか、何を大切にしたいのか、を尋ね、本人の価値観を共有することが重要である。
以上の情報共有をもとに、現在の病状が続くときにどのような医療とケアを行っていくか、今後病状が悪化したときにどのような医療とケアをどこで行うか、について話し合う。さらに可能であれば、人生の最後を迎えるときにはどのように迎えることを希望するかについて話し合う。
(5)本人の意思の確認ができない場合の話し合い
認知機能の低下によって本人の意思の確認が難しい場合であっても、話し合いの場にはできる限り本人も同席するように場の設定を行う。病状が重い場合など、長時間の話し合いへの同席が本人にとって負担となる場合には、本人を含む話し合いを短時間行ったあと、別室で家族と医師および多職種によって話し合いを行う。
家族がいない場合及び家族が判断を医療チームに委ねる場合には、 本人にとって最善と考えられる方針を医療チームとして選択し提案する。
(6)病状の変化に応じて話し合いを繰り返し行うこと
時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人や家族の意思は変化しうるものである。病状の変化や本人や家族の希望に応じて、その都度話し合いの場を設定し、本人や家族が意思の変更や不安を伝えることができるような支援を医療チームとして行うことが必要である。
(7)話し合いの記録
上記によって話し合われた内容については、その都度文書にまとめて記録を行う。
3.方針の決定が困難な場合のコンサルテーション
本人、家族、医療チームの間で話し合った結果、それぞれの考えが一致せず合意が得られない場合や、本人や家族から医療上適切と考えがたい方針の希望が出され話し合いに難渋する場合には、倫理委員会の倫理コンサルテーション等へのコンサルトを行い、方針についての検討を依頼し助言を得る。
第1版 2022年8月