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医学書 ブックレビュー

No.120

心を癒す言葉の花束

アルフォンス・デーケン  集英社新書(定価760円+税、2012年7月初版)

 困難に総合した時に、それを乗り越え、よりよく生きて行くための支えとなる先人達の言葉が40選ばれ紹介されている。 フランクル、トルストイ、ゲーテ、サン=テグジュペリ、シェイクスピア、マザー・テレサ、キルケゴールと引用元を列挙するだけでも、 内容はある程度、予想される。実際にキリスト教的な解説が多く、直接的に聖書からの言葉も合わせて、語調は一貫している。 その上、著者自身の言葉が一番多く使用されており、敢えてこのスタイルにて一冊とした意味が分からなかった。 今回こころに残った言葉は、なぜか著者自身の「晴れてもアーメン、雨でもハレルヤ」であり、 もうひとつを選ぶとすればニューマンの「One step enough for me.」でした。 内容評価は 、 値段は 。 この手の本は断片の集合体になる可能性が高く、読みやすい反面、一冊で何を言いたいのかがはっきりしない場合は多い。お勧め度は、 とします。

Aug20.2012(N)

No.119

「空気」の研究

山本七平  文春文庫(定価467円+税、1983年10月初版)

 太平洋戦争の戦記を後世の方が論評している中に頻回に引用されている書物。30年前の出版であるが、内容は古びていない。 特に戦艦大和の沖縄戦特攻出撃についての「空気」にまつわる話は誰しもが聞いたことがあると思われる。 物質から何らかの心理的・宗教的影響をうける、言いかえれば物質の背後に何かが臨在していると感じ、 知らず知らずのうちにその何かの影響を受けているという状態を「空気」と考えている。 「空気を支配する」ことと「水を差す」という二つの民族の知恵を忘れ、 一見論理的な考察の結果として「水を差す」ことを悪と糾弾する風潮を作り上げたため誰もが暴走を止められなかったという 歴史の繰り返しをいくつも我々は学んだことになる。 内容評価は 、 値段は 。 現在の会議等でも、結局は空気に支配され、個人の意見が率直に言えなくなることは多く、今も変わっていない気がします。お勧め度は、 とします。

Aug19.2012(N)

No.118

零の遺伝子

春原 剛  新潮文庫(定価550円+税、2012年8月初版)

 零とはもちろん第二次世界大戦の名機ゼロ戦のことである。副題である21世紀の「日の丸戦闘機」と日本の国防を考える一冊。 次世代の国産戦闘機のコードネームが「心神」であることやステルス機能の解説など蘊蓄が盛りだくさんの書籍であるが、 主眼は日米の軍事産業としての利害の主体である航空機産業の在り方を政治的な背景を含め理解しようとするものである。 国家の安全保障にかかわる要件でありながら、一機が100億から300億という途方もない買い物である経済である怪物的なシロモノを どのように考えればよいのかは、時としてゾクッとさせられる。 内容評価は 、 値段は 。 個人的には右翼ではないが、国産のステルス戦闘機が大空を翔ぶ日を見てみたいと思ってしまい、お勧め度は、 とします。

Aug18.2012(N)

No.117

四季の地球科学

尾池和夫  岩波新書(定価760円+税、2012年7月初版)

 ジオパークしての日本を、地震と火山の噴火から生み出された風景を通して考える岩波新書の一冊。 気候変動が大地にどのような影響を与えているかなど、興味深い考察が多く見られる。 自然としての四季を読みたいと思い購入したが、この興味には不適切なものとなった。 どちらかというと四季と科学とジオパークの関係を追及するような書物である。 これに、奥の細道、枕草子、方丈記などの古典にも言及されているため、個人的には居心地が悪く読みとおすはめになった。 最近どうも自分の好みでない本を購入してしまうかつ率が上がっているようである。反省も込めも、 内容評価は 、 値段は 。 もう少しあるがままの四季を本を通して感じてみたかったが、無理な注文のようである。お勧め度は、 とします。

Aug17.2012(N)

No.116

考えない人

宮沢章夫  新潮文庫(定価550円+税、2012年8月初版)

 劇作家として著明な筆者のエッセイ集。巷に溢れる「考えない人たち」の行状を描いたものをタイトルとしている。 いろんな雑誌等に収載された文章をとりまとめたもので、必ずしもストーリー性や統一感が有るわけではない。 正直、オビの「考えてもろくなことがない。」に惹かれて購入したが、その下の文章「魅惑の超脱力エッセイ」を見逃した。 読み通しても、随筆だから理解する必要もないのだが、個人的には疲労感のみ残る一冊となった。 相容れない書物を手に取った当方が悪いという一言につきる。今回は判断のしようがない。お許し頂いて、 内容評価は 、 値段は 。 こういった書物が好きな方や著者がファンには申し訳ありません。お勧め度は、 とします。

Aug16.2012(N)

No.115

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

アトゥール・ガワンデ  晋遊舎(定価1600円+税、2011年6月初版)

 本書は原名がThe checklist manifesto: How to get things rightで2009年に米国で発刊された書籍で、 サブタイトルにも重大な局面で正しい決断をする方法と書かれている。 原文をソフトカバーにて購入し一度は読んでみたが、しばらくたって医療安全の資料を確認していると頻回に引用されていることに気付いた。 読み直そうと思っていると、翻訳されていてショックを受けた。躊躇したが、やはり自分のつたない語学力に依存するより自国語で理解を深めた方が楽である。 内容は医療安全の王道である航空機の安全から入り、建築、料理にも触れて、 医療ミスの実例にもふれながらチェックリストの使用の有用性を反復して述べられている。 実際のチェックリストの作成、運用方法についてもヒントも随所に見られる。 内容評価は 、 値段は 。 現在の医療安全の流れを読み物として学ぶにはうってつけの一冊である。欲を言うとさらに具体的なチェッリスト作成の蘊蓄が聞きたかった。お勧め度は、 とします。

Aug15.2012(N)

No.114

捨てちゃえ、捨てちゃえ

ひろさちや  PHP文庫(定価533円+税、2012年7月初版)

 哲学、宗教関連にて膨大な著作を持つ筆者が、いつもの通り、難解な仏教思想を逆説やユーモアを交えて解説した一冊。 欲望、こだわりや心配などをすべて手放し、人生が楽になるヒントが82触れられている。 自分にできることをやればいい、満足している貧者のほうが幸せとか、過去・未来に悩まず現在を大切になど、故事に触れながら述べられている。 ちなみに、タイトルの「捨てちゃえ」は、自分自身の方から積極的に世間を「捨てる」ことを勧めていることを指す。 心の中で世間を馬鹿にするくらいの心のゆとりが必要ということらしい。 内容評価は 、 値段は 。 例として取り上げられているものは有名な故事が多いが、その解釈が独特であり、アレーと思うことも多い。一冊できでは解りにくい著者からもしれませんが、今回のお勧め度は、 とします。

Aug14.2012(N)

No.113

「超」入門 失敗の本質

鈴木博毅  ダイヤモンド社(定価1500円+税、2012年4月初版)

 一般的に組織論、リーダーシップ論などは過去から学ぶ形態の方が実例もあり具体的に述べやすい。 こういった意味でも軍隊を主題とし実際にあった戦争、戦闘をアウトカムとする書籍が多く存在することになる。 約30年前に同じ出版社から発行された名著とされている「失敗の本質」を読み解くことから現在の日本が直面する組織的ジレンマ、戦略の欠如を学ぼうとする一冊である。 戦略性、思考法、イノベーション、型の伝承、組織運営、リーダーシップ、日本的メンタリティという七つの視点から解説されていますが、既視感のなるテーマが並んでいます。 現場主義、人事の行い方、評価方法など実務に富む内容が盛りだくさんですが、想定外の変化に対応できる組織だけが生き残る、という部分が一番頭に残りました。 内容評価は 、 値段は 。 戦場の勝敗を支配している既存の指標を発見する。次に敵が使いこなしている指標を無効化する。支配的であった指標を凌駕する新たな指標で戦う。 というイノベーションの3ステップが出てきますが、「敵」と言うシンプルな言葉が使えるのがこの本の良さかと感じ、お勧め度は、 とします。

Aug13.2012(N)

No.112

キスカ島 軌跡の撤退

将口泰浩  新潮文庫(定価550円+税、2012年8月初版)

 毎年このシーズンになると終戦にちなみ、戦争関連の書物が店頭に並ぶ。 戦記といってもローマ時代のカエサルから十字軍、日本では日本武尊から戦国時代と多様であるが、やはり第一次、第二次世界大戦物が多くを占める。 ミッドウェーやガタルカナルなど余りに悲惨のものは読みにくく、ハワイ島奇襲も居心地が悪い感がある。 劣勢となってからの硫黄島やキスカ島がよく近年になっても取り上げられるのは希望があるからかもしれない。 撤退の立役者である木村昌福中将の生涯と決断を描いたこの文庫は余り日本の近代の歴史を知らない人には読みやすいものである。 内容評価は 、 値段は 。 古き良き時代の日本人のありたい姿を描いているようにも見え、決して戦争を賛美している訳ではないが、日本人特有の感情がある一冊であり、お勧め度は、 とします。

Aug12.2012(N)

No.111

真っ赤なニシンーアメリカ医療からのデタッチメント

岩田健太郎  克誠堂出版(定価1700円+税、2011年6月初版)

 今の日本における医療界オピニオンリーダーの一人である神戸大学岩田先生の近著。 10年前の「悪魔の見方」の直接的な続編ではなさそう。日本とアメリカの文化を見比べて医療の違いを現在の視点からまとめた一冊。 ただ、骨格と成るテーマが一冊の本で筋が通っているわけでなく、単にエッセイの集合体として読んだ方がいいと思われる。 著者らしいいいましや意見がふんだんに読め、岩田先生の個人的信奉者は必読の書籍でしょう。 おわりにて述べているように、網羅的ないし分析的に医療を解説したものでない、という前提で読まれるべき本という意味で、 内容評価は 、 値段は 。 いわゆる首尾一貫した書籍でないため、読後感があいまいで記憶に残る部分が少なく、どちらかというと断片的な情報の追加という意味合いに今回はなってしまい、お勧め度は、 とします。

Aug11.2012(N)

No.110

遺伝子の不都合な真実

安藤寿康  ちくま新書(定価780円+税、2011年7月初版)

 簡単に通読できるかと思い購入しましたが、最後まで行き着くまでまれに見る難行となりました。 これは、内容は面白いと感じるのですが、リズムがとれず、その上ひとつひとつが結構難しく感じる代物のためでした。 不都合な事実であったとしても人間というものはあらゆる側面で遺伝子の影響を受けているというもので、著者の結論めいた 「私たちを生かしているこの社会を構成する知識の総体を私たちのもつ遺伝的多様性の総体が一人一人にあらわれた遺伝的条件の利己性を満たしながら学習」 する必要が最後に言葉として出てきます。 内容評価は 、 値段は 。 教育的投資を行うことによる見返りはおよそ10%程度である、という事実が今から40年前に判明していたことを初めて知り、驚き度を含め、お勧め度は、 とします。

Aug10.2012(N)

No.109

いのちの言葉

いのちの言葉編集部  ハルキ文庫(定価571円+税、2011年7月初版)

 昨年出版されたいのちに関わる古今東西の名言が100収載されている文庫。 これも内容を説明するより個人的に気に入ったものをいくつか挙げた方が解りやすい。 巻頭が吉田兼好の「一日の命、万金より重し。」から始まる。 「生きている限り、人間はすべてを奪われることはない。」(正岡子規)、 「死に方を研究するより、生き方を考えるべきです。」(徳富蘆花)、 「あなた自身を励ますいちばんいい方法は、誰か他の人を励ますことです。」(マーク・トウェイン)、 「汝は生命を愛するか、しからば時間を浪費するな。」(フランクリン)などである。 内容評価は 、 値段は 。 今回一番のお気に入りと成った言葉はマイケル・ジョーダンの「めったに怪我をしないのは、常に全力でプレーしているからです。」でした。お勧め度は、 とします。

Aug9.2012(N)

No.108

基礎から学ぶクリニカルパス実践テキスト

日本クリニカルパス学会学術委員会  医学書院(定価3400円+税、2012年7月初版)

 クリニカルパスが日本に導入されてから20年程度がたつようです。 当初のことを記憶されている方も少ないでしょうし、勤務する病院での使用も10年前後のところが多いのではないでしょうか。 今回、これまでの歴史を再度学習し、現時点でのクリニカルパスの考え方、基本構成、アウトカムの考え方などに触れられている。 原点に返って、確認することになる。実際の作成から使用、記録方法とバリアンス分析についても記載され、 電子クリニカルパスについても紙パスとの違いを含めて取り上げられている。 初心者から現在実際に使用しているレベルの方までにお奨めできる内容となっています。 内容評価は 、 値段は 。 当たり前ではあるが、懐かしく読める方には軽い内容であり、初めての方にはかなりつらいことになりそうですが、お勧め度は、 とします。

Aug8.2012(N)

No.107

人の心をギュッとつかむ話し方81のルール

斎藤茂太  集英社文庫(定価419円+税、2012年1月初版)

 医療はコミュニケーションが必須の要素として存在するため、各種の研修会等で取り上げられることが多い。 しかし、スキルとしてのコミュニケーション学習はなかなか頑張っても身につかない。 結局は、人間自身に依存した部分が大きく、技術だけでは役立たないのかもしれない。 この話し方を精神科医でかつエッセイストである斎藤さんが分かりやすく解説した一冊。 場の空気に合わせて人の心をつかむところから始まり、謙虚な自己アピールで人に好かれ、 頼み方・断り方のノウハウを伝授し、聴き方にも触れ、いかに信用されるかについて書かれている。 内容評価は 、 値段は 。 明るい話し方が大切であり、話に心を込めることの大切さが再認識され、お勧め度は、 とします。

Aug7.2012(N)

No.106

なぜ、「怒る」のをやめられないのか

片田珠美  光文社新書(定価760円+税、2012年7月初版)

 元来、日本では怒りは負の感情として扱われ、怒りがない状態をもって徳が高いとされる場合が多い。 道徳教育でないが、怒りさえ無くなればうまくいくといった安易な考えがどれほど危険かを示した新書の一冊。 怒りは「何かうまくいっていないことがある」という生きる上で非常に重要な感情でありサインである。 以前からの「怒りを自覚すること」の大切さが理解されず我慢を強いることが多いが、結局「怒り恐怖症」に陥ってしまうと著者は問いかける。 怒りを偽装した受動的攻撃やため込んだ怒りをキレる形で発現していまうという症状となると大変である。 怒りを適切に表現する方法を知り、学びたい方に必読の本である。 内容評価は 、 値段は 。 日頃、怒りについては十分理解できずに対応してきたが、理屈が必要な方にはうってつけであり、お勧め度は、 とします。

Aug6.2012(N)

No.105

熱中症Review—Q&Aでわかる熱中症のすべて

三宅康史  中外医学社(定価4200円+税、2012年7月初版)

 今年は猛暑であり、新聞では毎日のように熱中症が取り上げられている。 夏の甲子園の応援だけでも何十人と熱中症として治療されていると以前より耳にします。 今回、日本での熱中症の実施の取り纏め役である三宅先生が編集し著者としても名前を並べている書籍を購入しました。 ただ、内容はどちらかというと病院前の対応を主においている関係か、救急隊員や学校関係者、スポーツ指導者向けのものとなっており、 病院勤務医が読むには不向きかもしれません。ただ、一般的に熱中症がどう理解され対応を想定されているかを知るには適した一冊でしょう。 内容評価は 、 値段は 。 熱中症の対応はやはり予防と初期治療のため、現場でのノウハウが大切と再認識できます。お勧め度は、 とします。

Aug5.2012(N)

No.104

希望の言葉

いのちの言葉編集部  ハルキ文庫(定価571円+税、2011年7月初版)

 昨年、東日本大震災に関連して出版されたものの一つ。 こういった故事名言や言葉をメインにおいた書籍が好きなため遅まきながら購入。 古今東西の名言が100収載されている。内容を説明するより個人的に気に入ったものをいくつか挙げた方が解りやすい。 「顔を太陽に向けていれば影は見ることはできない。」(ヘレン・ケラー)、 「失ったものを数えるな。残ったものを数えよ。」(ベニー・グッドマン)、 「たとえ世界の終末が明日であっても、自分は今日、リンゴの木を植える。」(ゲオルギウ)、 「指輪を失くしても、指はある。」(イギリス)などである。 内容評価は 、 値段は 。 ただ、一番心に残るのは現場の方々の言葉であり、こころにしみ通るような宝です。お勧め度は、 とします。

Aug4.2012(N)

No.103

それパワハラですー何がアウトで、何がセーフか

笹山尚人  光文社新書(定価740円+税、2012年7月初版)

 現場にいて特に最近みんなが気にしている、言い換えると注意を払っているのは、セクハラ、パワハラのたぐいでしょう。 これを理由に人事を組むと横やりが好きな方々でもほとんど無口になります。 まあ、職種を問わず、例え医師であっても例外ではない問題となります。 この新書が示しているのは、パワハラの線引きというよりは、パワハラの訴訟になったときの現実が弁護士のサイドから解りやすく書かれています。 逆に、どこまではセーフかというのは若干理解しにくい内容であり、パワハラ防止には余り役立たないかもしれません。 実務として参考書を求めている方が最初に読む本には適していないでしょう。 内容評価は 、 値段は 。 パワハラの訴訟にどのように弁護士の力を借りるかを知るには最適かもしれません。お勧め度は、 とします。

Aug3.2012(N)

No.102

にんげんのおへそ

高峰秀子  新潮文庫(定価460円+税、2012年1月初版)

 没後1年を迎えた高峰秀子さんの名随筆集の中の一冊。 老後をひかえ、「死ぬための生き方」のために費やされた日々が「死んでたまるか」という一篇で紹介されている。 人生の店じまいの話ですが、藤沢周平さんの消しゴムで自分の痕跡をすべてなくすような店じまいと重なり、なぜか、粋な生き方に思ってしまう。 当たり前であるが、勝てないなあ、と思わせる文庫である。 タイトルは映画撮影所の巨匠たちである魑魅魍魎がいかに「へそまがり」であったかを示すものである。 綺麗に生き、満足して去って行くにはどうしたらよいのかが解る気がする本であり、 内容評価は 、 値段は 。 オッパイ賛歌で乳房温存療法の話が出てくるが、エッセイには医療が付きものと再認識でき、お勧め度は、 とします。

Aug2.2012(N)

No.101

功利主義入門—はじめての倫理学

児玉 聡  ちくま新書(定価760円+税、2012年7月初版)

 東京大学の倫理学専門家が新書として発刊した一冊。同じ著者が共著である「入門・医療倫理」を購入して勉強された方を多いと思います。 ただ、著者があとがきで述べているように哲学者の思想や倫理学の基本概念を網羅的に解説したものではなく、入門書というにはかなり高度な内容となっている。 定番であるトロリーのケースなども登場するが、かなり予備知識がないと理解が難しい。 入門書としてはホープの医療倫理を進めてしまう。でも逆に、ある程度医療倫理に興味があり、持論のある方には適した書籍かもしれない。 内容評価は 、 値段は 。 読了するとなぜが書籍としての統一感がないという新書としての欠点が目立つ気がするため、お勧め度は、 とします。

Aug1.2012(N)



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