医学書 ブックレビュー
No.360
ネコはどうしてわがままか
最近なぜか「ネコ」という文字のついたタイトルの本を読むことが多くなった。偶然ではあるが、苦手なジャンルなのに避けるとこういうことになるのかもしれない。
今回は日高先生の新潮文庫最後の一冊。単行本11年前に出ていたそうです。初出の雑誌が他とは違い、内容も雰囲気も少し異なっています。当方は他のスタイルが好きですが。
この一冊はガチガチの動物ものに感じました。もちろん、文章力と蘊蓄も豊富な先生のことなので、通読はあっという間ですが。
内容はもちろんネコだけではなく、動物を春夏秋冬にわけておもしろく取り上げています。
内容評価は
、
値段は
。
解説の山下洋輔さんの心暖まる話がよかった。もう日高先生の本を新たに読むことはないかと思うと本当に残念に感じてしまいます。お勧め度は、
とします。
Apr18.2013(N)
No.359
学校が教えてくれないヤクザ撃退法
タイトルになぜ「学校が教えてくれない」がついているのか。
それは、著者がいくらヤクザについて啓蒙しようとしても、政治家を含め大人は何もせず、何も変わらなかったとう失望から、
今はこれからの日本を支える中・高校生や大学生に読んでもらうべきが、学んでもらうべきだという気持ちに由来する。
きれい事では済まない現実を知り、そして学び、自分のことは自分で守るという自覚をしっかり持つようにする。
そう著者は期待している。紹介されている実例はもちろん、巻末の宮も取れるとの暴対法、ヤクザとのトラブルに巻き込まれないための二十四箇条が圧巻である。
一番感心したのは第十一条の「お礼参りは航空機事故の確率以下」でした。同じ著者による「精神科医」シリーズの三冊目。5年前に出版されたものの文庫化。
内容評価は
、
値段は
。
医療関係機関でも紛争としてヤクザとの対応は学ぶと思います。内容が前著と余り変わっていないようなので、★を一つ減らしました。お勧め度は、
とします。
Apr17.2013(N)
No.358
心に狂いが生じるとき
同じ著者による「精神科医」シリーズの三冊目。5年前に出版されたものの文庫化。
「普通の人物が小さな狂いをきっかけとして、精神全体を病んでしまう、あるいは人を殺めるような取り返しの付かない行動を起こすこともある。
そこには日常と非日常の裂け目のような、底の見えない怖さが存在している。」と述べている点が本書のテーマである。
その「裂け目」であるが、「正常な精神と狂気には、厳然として境界線があるように考えられている。しかし実際のこころの境目は、ごく淡いものであるように思われる。」
とあっさりと著者は語るのである。実例を挙げながら話は進むのであるが、冒頭のゴッホやあとがきのユングの話で触れられ、
旧約聖書の「ヨブ記」の物語やベケットの舞台劇「ゴドーを待ちながら」を通して、生きる上での不条理性の認識とそれを乗り越えて「生き抜く」
ことを大切を語っている部分が一番分かりやすかった。
内容評価は
、
値段は
。
どうしてもこの手の本を続けて読むとクライ気持ちになってしまう。そのため、著者自らが希望を持ちたくて書いているような気がしてきます。お勧め度は、
とします。
Apr16.2013(N)
No.357
こうすれば病気は治る
いわば、免疫学を理解して心身共に当てはまる健康法の解説書。9年前に発行された新潮選書の文庫化。
巻尾に書かれている著者のいう癌予防は(1)からだを温める(2)深呼吸をする(3)野菜などを食べて免疫力を上げる(4)迷いの心を感謝の心に切り替える、
という4点が大切として締めくくっています。まさしく健康法ですね。前著と同様のスタイルで、免疫学を心の面も併せて解説し、次に病気の説明に移っていきます。
章立てでも「健康法について考える」という章が作られています。
臨床的なデータもEBMに沿った解説という訳でなく、これも前著と同じ、著者の考え、一種の人生論として読むべきだと感じました。
内容評価は
、
値段は
。
著者の専門は全く存じ上げないのですが、基礎的な研究中心の方で、いつも真摯に取り組んでおられるのでないでしょうか。
そういった書籍とするのが、本書を一番言い表している気がします。お勧め度は、
とします。
Apr15.2013(N)
No.356
病気は自分で治す
解説で南伸坊氏が現代の「養生訓」と評しています。副題の「免疫学101の処方箋」と合わせ内容を的確に表しているようです。
免疫学の基礎からそれに関連した疾患・病気の説明へと進んでいくのですが、一般の方にも解りやすく書かれています。
後半になると治療が中心の内容になり、人間本来がもつ自然治癒力を活用する著者の考えが述べられている。
薬に依存せず食習慣や生活習慣全般を見直す必要が大切であると説かれている訳です。一種人生論であり、人の無理な生き方を自然体にという趣旨です。
そういった論調で一冊が進んでいくのですが、すべて2,3ページ分の短文で構成されており、著者が気持ち良く書いているのが伝わってくる一冊です。
内容評価は
、
値段は
。
7年前の刊行物の文庫化ですが、医療の周辺書籍として読むのと好みの分かれる書籍と思われます。
単なるエッセイと割り切る方がこころに負担がないかもしれません。お勧め度は、
とします。
Apr14.2013(N)
No.355
Check Up!一冊まるごと インフルエンザの制御法
インフルエンザの予備知識、診断、治療から予防、対策法までを一冊でまとめた副題通りの書籍です。
カラー刷りの100ページ程度の本で読みやすく解りやすい内容ですが、決してレベルの低いものではありません。
ウイルスの基礎から耐性の機序を含め、押さえておくべき基本は少々専門的であっても詳細に提示されています。
インフルエンザ関連の書籍は毎年改訂され出てくるものも含め数種目にされると思いますが、単に情報の紹介というだけでなく、
著者が伝えたいことをしっかり書かれているという点では良書です。インフルエンザを扱わない総合診療医はいないでしょうから、
たまには基本に還って勉強もよいのではないでしょうか。
内容評価は
、
値段は
。
最近読んだインフルエンザ関連では最良でした。少し残念だったのは、合併症のところ、脳症などを含めもう少し読んでみたかったところでしょうか。
ぜいたくかもしれませんね。お勧め度は、
とします。
Apr13.2013(N)
No.354
医学記憶術 免許皆伝〜兵法 頭字編〜
びまん性肺疾患などで著明な浜松医科大学の千田先生の書かれた軽い一冊。Mnenomicsというゴロアワセというか早覚え術を扱っている。
学生時代の試験対策に多く日本でも編み出され、最近では福井大学総合診療部の林先生がよくテレビや書籍で多用されている解りやすい手法である。
どうしてもアルファベット系が多く、日本語にすると下ネタ系が多いという特徴もある気がする。これだけ扱ったITサイトもあり、みんな考えること、感じることは同じらしい。
どこかで見た、聞いた、読んだことがある内容が多いが、本書も楽しみながら通読できます。臨床上有用かつなつかしい気にもなれます。
内容評価は
、
値段は
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新書サイズの書籍で、手頃ですし、この手の本が分厚いとモタレルし、逆に薄いと内容までそう感じそうで、本当にいい加減の本でしょう。お勧め度は、
とします。
Apr12.2013(N)
No.353
数学的推論が世界を変えるー金融・ゲーム・コンピューター
大失敗でした。タイトルに惹かれカタログ販売にて購入というスタイルなのですが、ゲーム理論をもう少し理解したいという欲に駆られて手を出しましたが、当方の敗北です。
数理論理学がそのものずばり数理式を用いて説明、解説されているため、今の当方の頭では全くついて行けず、読み返してもいわゆるチンプンカンプンという状態で、
肝心なゲーム理論の解説部分が理解不要になるという書籍だったためです。著者の責任ではなく、合っていない本を購入した当方の責任です。
数理に強い方が読まれれば楽しく読了できるのではと思いますが、能力のない当方にてコメントのしようがないということになります。
内容評価は
(多分)、
値段は
。
数学は金になる、とオビに謳っていますが、結局はそれを使うアタマがそれ以上に必要というでしょう。敗者は語らずということで、反省も込めて、お勧め度は、
とします。
Apr11.2013(N)
No.352
大人げない大人になれ!
目標を持ってはいけない、キャリアプランは持たない、極端なお金の使い方をしよう、期限ぎりぎりでOK,おじさんの言うことの9割は間違いと心得よう、
あまのじゃくでいい、頭の固い大人を怒らせよう、英会話は必要ない、などなど一杯大人げなさが詰まった一冊。元は4年前の単行本。著者は日本マイクロソフト社の元社長。
内容は読みやすく、圧倒的に読みやすい。逆説的な話が満喫できる。伊達に社長ができるわけでないことが理解できる。
著者が直接知っているIT関連の著名人やノーベル賞受賞者のエピソードも楽しく読めます。でも、最後は本当にこれでよいのか、と自問することになりそうですが。
内容評価は
、
値段は
。
あとがきで著者が述べている「夢中になれることは最高の才能であり、興味があればなんでもやってみることがお気楽な人生を送る秘訣なのだ」という言葉が、
著者自身の天才性とまねの出来ない資質を表し、一般人には到達できない高みを示している気がします。
そういった意味で参考になるか、ならないかは個人の問題かもしれません。お勧め度は、
とします。
Apr10.2013(N)
No.351
あきらめない限り夢は続く
ベーチェット病と持ちながら薬剤治療、手術、厳しい運動制限、食事制限をくぐり抜け、入退院を繰り返しながらも、
最終的には2012年に読売巨人軍に入団した柴田章吾選手のこれまでの記録である。少年野球で全国制覇し日本代表で海外遠征。
その後に発症したが、病気と闘いながら名電高校から甲子園に出場し、明大野球部でも活躍している。
一種サクセスストーリイに見えるが、内面を含めてベーチェット病の自然史とも読める。終わり頃に順天堂の膠原病の大家である高崎先生の名前も見える。
5年前に単行本として出たものの文庫化で、多分追記されおり、いろんな読み方が出来る一冊である。
内容評価は
、
値段は
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巨人入団が決まって、記念のタオルを関係者に配った際に書かれていたのは「感謝」と「夢は逃げない。逃げるのは自分」だそうです。
それを支えるのは「今からでも就活をしろといわれても、いつでもできるような生き方をしたい・・・自己分析、自己アピールが出来る人間」
というこころの有り様なのでしょうか。お勧め度は、
とします。
Apr9.2013(N)
No.350
Travel Medicine, 3rd ed.
地域柄なのかもしれないが、当地に着任して病院に保険証なしで訪れるインドの方が多く、別にベトナムの方も見かける。
日本人で東南アジアに仕事や旅行に行った後、発熱、下痢などで相談に来られる方も結構ある。関西国際空港の近くという立地条件か。
しかし、空港近くには大きな病院があるのだが、理由は良く解っていない。
これまで旅行医学の勉強は避けてきた部分であるが、最近自身の無知を自覚することが続き、頑張ろうと思い、周囲に相談したら薦められて一冊。
550ページ程度の書籍であるが、感染症のみならず、旅行全般について記載されており、知らないことだらけ。もう少し早めに勉強しておくのだった。
感染症中心でマラリアなど必須のパートは勉強するのに適した内容で、1章当たりの分量もうまく調節されている。すべてが問題解決型の記載で実用に適したスマートな書籍でした。
内容評価は
、
値段は
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やはり定番の書籍は安心して読めます。最近はどうもゆっくり読みたいのか、速度が大変遅く通読するのに時間がかかってしょうがありません。
もう訓練する年齢でもありませんし。もう一冊日本語の旅行医学の書籍でも買って見たくなる本でした。まあ当たり前でしょうか。お勧め度は、
とします。
Apr8.2013(N)
No.349
神経解剖集中講義(第2版)
最近見た書評でたまたま良い感触だったので購入した。本当に解りやすい書籍でした。運が良かった。
LWWから出ている”High-Yield Neuroanatomy”2009年第4版の翻訳で著者はJames D. Fix。
タイトル通りに神経解剖が効率よく学べるように配慮され、臨床に即した解説をなっている。
画像を意識した血管走行の説明やCT、MRとの対比など、放射線関連の書籍かと錯覚するほどである。
総合診療としての必要なことを自分なりにチェックするにうってつけの一冊でしょう。
特に日本の専門医試験を意識したコメントも見られ、有用です。
内容評価は
、
値段は
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当然のことながら、辞書代わりに使えるほどの分量ではありません。まあ本としてのバランスの問題でしょうか。
また、やはり教科書的なのでしょう、発生の部分の丁寧に記載されています。やっぱいは当方はこの部分致命的に弱いと実感できた一冊でした。お勧め度は、
とします。
Apr7.2013(N)
No.349
かかりつけ医とケアスタッフのためのBPSD対応マニュアル(改訂2版)
タイトルも編者も、本当に長い名前になりました。最近風潮ですか。やたらと「?」や「!」が多く、乱用のキライもあります。
長い名前も内容が分かるという意味で親切なのですが、過ぎたるは及ばざるがごとしの心配もあります。本書は5年前の書籍の改訂版で、BPSDはBehavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略で、認知症に伴う行動症状および精神心理学的症状のことです。漫画を駆使して本当に解りやすいスタイルとなっています。診断から治療まで、現場が解った方が記載されているように感じられます。認知症関連の書籍は何か解ったような気にすぐなれますが、臨床の現場では役に立ちにくいものが多いのですが、今回はそういった心配のなさそうです。内容評価は★★★★☆、値段は★★★★☆。薬剤のカタログ的な要素もあり、逆に介護的な要素は出来るだけ押さえられており、強弱のはっきりした「かかりつけ医」向けの一冊です。お勧め度は、★★★★☆とします。
内容評価は
、
値段は
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医学雑誌にも取り上げられていた内容が判りやすく読める。新書の長所というべきでしょう。
説明を求める患者のためには知っておいて損のないものですが、治療に結びつきにくい疾患名とも受け取れました。お勧め度は、
とします。
Apr6.2013(N)
No.348
脳は悲鳴を上げている
マスコミに多く出演している一種タレント医師である清水先生の著作。『頭痛、めまい、耳鳴り、不眠は「脳過敏症候群」が原因だった!?』、
という副題が内容をすべて表している。慢性頭痛に対して脳の興奮を抑える対処がその都度なされていないでいると、脳はちょっとした刺激で興奮しやすくなり、
ささいなことで頭の痛みを感じるようになる。これを慢性頭痛が姿を変えた新型頭痛、脳過敏症候群と名付けたのである。
この脳が興奮しやすい状態かどうかは脳波検査で調べることが可能であり、必須検査とされている。
から、始まって一般的な頭痛の説明、片頭から各種頭痛が紹介され、最後に治療法に移っていく。病名は新しいがなぜか治療法は、という感がなきにしもあらずか。
内容評価は
、
値段は
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医学雑誌にも取り上げられていた内容が判りやすく読める。新書の長所というべきでしょう。
説明を求める患者のためには知っておいて損のないものですが、治療に結びつきにくい疾患名とも受け取れました。お勧め度は、
とします。
Apr5.2013(N)
No.347
ヒューマンエラーは裁けるか
Sidney Dekkerにより“Just Culture: Balancing Safety and Accountability”のタイトルで2007年12月に出版されたものの邦訳。監訳者も安全の著作の多い芳賀繁先生である。
巻頭の推薦の言葉が柳田邦男氏であり、ある意味コテコテの安全についての一冊。
専門職して精一杯努力したのにもかかわらず、何らかのエラーにより事故となり、
顧客が負傷なし死亡すると直ちに警察により業務上過失致死(致傷)罪の容疑にて取り調べを受ける可能性がある。
福島県立医大の産婦人科医の一件がそうであるが、一冊がそういった内容の書籍である。
いろんな事例を取り上げながら解説しているが、現在進行している日本の国としての対応の明確化が一番望まれ、気になるところでしょう。
内容評価は
、
値段は
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そろそろ「安全」と「安心」についての書物も飽きが来るころでしょうか。
深刻な問題に出された対策も具体的ですが、どうしても現実をかけ離れた感があります。お勧め度は、
とします。
Apr4.2013(N)
No.346
主食を抜けば糖尿病は良くなる!(実践編)
「糖質制限食」のシリーズ第二弾にてベストセラーらしい。内容はタイトルがほぼ表ししていますから医療関係の方には説明は不要かと思いますし、そういった文庫です。
5年前の単行本の文庫化で、前著であるシリーズ第一作も紹介しましたが、なぜか、恐いもの見たさで買って読んでしまいます。相変わらずのないようで楽しく読了しました。
一見論理的な破綻はないような進行でしたし、理解しやすい書き方で読者が読みやすいスタイルに徹しているような本です。
一般の方がどういった本で情報を集めているか、テレビなどからか、ネットで検索なのか、書籍からなのか、できるだけ注意を払っていたいのですが、
どうも最近はネット情報からの外来での質問が多い気がしますが、この手も本を良く売れているようですね。
内容評価は
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値段は
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結局参考文献リストはなく、病院の紹介内容が反復されています。まあ当然でしょうか。
興味があるか、ないか、とどの詰まるところはそういった評価になるのかなあ、と感じてします一冊です。お勧め度は、
とします。
Apr3.2013(N)
No.345
年報 医事法学22(2007年版)
日本医事法学会の出版している年報の2007年版であり、古書でなく購入できる最後の本である。6冊まで遡れたのでひとまずは満足すべき結果か。
概ね最近の流れは掴めた気になれた。今回のシンポジウムのテーマは医療情報である。個人情報の取扱などなつかしい気持ちになる。
ワークショップは医療事故調査と高齢者医療の代諾手続きが扱われている。この部分はやはり難しい。
判例紹介は、エホバの証人における輸血問題、HIV感染を理由にした手術回避などが扱われていた。
医療裁判、医療訴訟関連においてのある種種本的な要素のある年報シリーズかと思われる。当然通読する必要はなく、必要なときに調べるものであろう。
ネットで判決自体は確認できるとされても、読むことは可能であっても理解は不可能に近いのではないか。理解できるための工夫を弁護士の力以外にも持っておくべきであろう。
内容評価は
、
値段は
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病院で備えておくべき図書であって読むべきものではなかった気がするが、それまでに数冊読んでしまっていた。
それなりに面白かった気がする。あくまでも個人としての好みであるが、お勧め度は、
とします。
Apr2.2013(N)
No.344
オペラント心理学入門
三〇年以上も前に出版された本であるが、なぜか頻回に行動分析学の書籍では引用されている。取り寄せて理由がよく分かった。
原題がA Primer of Operant Conditioningで1975に出版されており、著者であるGS ReynoldsがあのBFスキナーの愛弟子であった関係で、
その考えが良く分かる書籍であるからであろう、スキナー自身の著作は一冊のみしか翻訳されていない。多分大著が多く不向きなのではと推察する。
本書は装丁から古きよき時代の雰囲気があり、内容も最近の行動分析学の書籍で良く使われている表やグラフの原典と思われるものが多く見いだされる。
読む順番が逆だったのかもしれない。その上、最後の副読本も紹介も今は購入して読むことが不可能な書籍のリスト化であり、ある意味貴重なものです。
内容評価は
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値段は
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購入するだけで、行動分析の歴史がある程度解るような一冊でした。それもそのはず、副題が「行動分析への道」とは恐れ入りました。
懐かしい気持ちになりたい方は是非どうぞ。お勧め度は、
とします。
Apr1.2013(N)
No.343
ジェネラリストのための内科外来マニュアル
沖縄県立中部病院と手稲渓仁病院の総合内科医が共同して作成した内科外来マニュアルの一冊。ローレンス・ティアニーが巻頭で推薦のことばを載せている。
イントロダクションとして総論的な診断アプローチや外来診療のコツ、抗菌薬の使い方を紹介され、まずは初診外来のパートとなる。
症状別に扱われており疾患頻度を考慮した書き方になっている。執筆者が多分個々に十八番を持っていて、それを網羅・意識したスタイルとなっている気がする。
読みやすい反面、どこかで読んだ、聞いた感覚によくとらわれる。後半は継続外来・検診異常への対応となり、他のマニュアルでは余りお目にかからない部分である。
ただ、ここは逆にオーソドックスな記載で、敢えて・・・という感がなきにしもあらずか。
この一冊があれば、短時間で外来対応可能、という線を目指して編集されたもので、通読するような書籍ではなさそう。
内容評価は
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値段は
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内容は総合内科の外来ベースの本のため、多くは期待しないほうがよいかも。
さらに読み物でなく、Quick referenceを意識した構成のため、使い方、読み方を考えて購入すべきでしょう。お勧め度は、★★☆☆☆とします。
とします。
Mar31.2013(N)
No.342
年報 医事法学23(2008年版)
日本医事法学会が発行する年報の2008年版。医療の安全確保における刑事過失論が取り上げられ、シンポジウムのテーマが医療事故と刑事責任と成っている。
終末期医療、代理母、生体移植などもワークショップの記録として記載されている。判例紹介では、慈恵医大青戸病院腹腔鏡下手術ミス事件の控訴審、
川崎協同病院事件控訴審の判決などが解説されている。法律上の常識がいつの時代のものかを当方も忘れいっているのが良く解る。
事件の内容は覚えているが、最終結果としてどのように判断され、評価として残っているのを確認するにはよいシリーズと思われるが、やはりマニアックかもしれない。
内容評価は
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値段は
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論理的ではあるが、いつもと違うパターンを使うとなると本当に疲れます。内容とは別の意味の努力が必要でしょう。お勧め度は、
とします。
Mar30.2013(N)
No.341
ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る
行動経済学者でノーベル賞受賞者であるカーネマンの本。ノーベル賞受賞講演の内容と自伝、それに最近の論文を2編訳したものである。
初めての一般書であった近著を読み、興味が涌いて購入した一冊であったが、がっかりであった。というのは、自伝を含む、ほとんど前著にて網羅された内容であったためである。
訳者が同じであり、本著をあとがきが薦めていたため、信じての購入であったが、残念である。
余り、追加して語るところもない。当方が順番を間違って読んだためと思われ、後で読む意味はなかったのであろう。
内容評価は
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値段は
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読まないと解らないで致し方ないが、多分は近著のファスト&スロー一冊で十分で、内容も理解しやすいものだと思います。翻訳も恐いものですね。
いろんな意味を込めて、お勧め度は、
とします。
Mar29.2013(N)