医学書 ブックレビュー
No.100
50代からの選択
ビジネスマンは人生の後半にどう備えるべきか、のサブタイトル通りの人生指南書。
著者は知らない方はまずいないでしょう。
50才からの選択という部分に惹かれ、数年間の本ですが、購入。
著者の失敗、挫折からの人生の転換を正直に書かれており、一生涯勝利者終わる方はまずいないでしょうから、今後の参考となります。
ただ、いつものように著者のエリート的な感覚が随所に見られ、好みの分かれる点かと思われます。
内容評価は
、
値段は
。
今の会社を辞めても生きていけるかと自問している人には一読の価値があり、お勧め度は、
とします。
July31.2012(N)
No.99
誰にでもすぐできる催眠術の教科書
催眠術の第一人者による本物が最短時間でマスターできる、と銘打たれた新書の一冊。
理論の概要から実践へのいろんな手段が述べられており、教科書というスタイルはその名のとおりかと思われる。
催眠を使ってどこまで人をコントロールできるか、という疑問に対して形を変え「深い催眠に入っている女性に服を脱ぐよう暗示をかけたら、本当に脱ぐか」
という質問に答えているところが俗人的には一番面白かった。
著者が、自身の「明きに入りの靴と水たまり」の理屈から解説しているが、理解しやすい内容であった。
ただ、惜しむらくは教科書に必要な参考文献や書籍がリストとして提示されていない。
内容評価は
、
値段は
。
催眠術の応用を考えたい方には一読の価値ありですが、実践についてはやはり難しいそうで、基礎理論が弱い部分と合わせ、お勧め度は、
とします。
July30.2012(N)
No.98
医神アスクレピオス
15年前に出版され、長らく絶版のために入手困難であった。
このたび復刊され発行。ソクラテスの師匠であるという意味での興味とよく見かける杖に蛇が取り巻いている図を象徴される本人に対する疑問があり購入した。
読後の感想は正直、ギリシア神話がよく解らず、疑問は解消できなかったということになる。
神話研究、考古学、宗教心理学、医学心理学など多面的な解釈を求めて記載されており、
特に医師という職業の有史以前の多様な層を解説しようしているように思われるが、神話等についてのかなりの基礎知識がないと読み通すことはかなり困難であろう。
ただ、そんなに難しく考えずに「アスクレピオス」に触れたいという方に手頃な本かもしれない。
内容評価は
、
値段は
。
医師のルーツに関するような書籍は日本語で読めるという限定では非常に少なく、お勧め度は、
とします。
July29.2012(N)
No.97
CT・MRI実践の達人
最近よく見かける、一病院のレジデントやフェローが執筆しスタッフが編集するスタイルの書籍の一冊。
一施設の話なので統一が取れ、今回も聖路加という超一流病院の放射線科撮影のプロトコール集といった内容となっている。
実践的ですぐに役立つべきものであるが、施設毎に装置・機械が違い、また、診断医の好みも異なるため、結局は・・・という話になりがちな部分でもある。
ただ、一般的な基準を知るには適した内容と思われた。放射線科診断医と該当する臓器の専門医の好みの違いも通読すると見えてくるような気がする。
内容評価は
、
値段は
。
普通の感覚で言えば読み通す書籍ではなく、ハンドブックとして困った時に参照するタイプの資料と思われ、お勧め度は、
とします。
July28.2012(N)
No.96
やなせたかし 明日をひらく言葉
最近読んだ本で、一番ドキッとした文庫。
やなせたかしさんの本を読んだことがなかったからかもしれませんが。
最初は1919年生まれで最近まで日本漫画家協会理事長で現役であったことにびっくり。
アンパンマンの著者として売れ始めたのは56歳以降で遅咲きだった。
誰でもが知っている「てのひらを太陽に」の作詞をしていたことは全く知らなかった。
いつも「正義について」というふうに考えておる姿勢。私にはたくさんの驚きが詰まった一冊でした。
「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」を考えて人生の長い道のりを歩いてきたやなせさんを自分で感じてはどうでしょうか。
内容評価は
、
値段は
。
とくに手塚治虫との交流がなぜがジーンときてしまい、お勧め度は、
とします。
July27.2012(N)
No.95
偉人たちのブレイクスルー勉強術
自分にぴったりの勉強方法を先人16人に習って見つけようとする一冊。
ドラッカー、キング、ゲーテから吉田松陰、村上春樹さんまで紹介されている。
「自分に合ったペース」で、「自分の好きな方法」で「追求していく」。
これができるようになるのが大人の勉強の面白さとして、前後に著者の持論もたっぷり述べられている。
個人的には、大好きな木田元先生の「丸暗記語学」のパートが先生らしいと思い、楽しく読めた。
ただ、オールスターキャストで、いつしか凡人である自分にどれだけ参考になるかと、卑屈になったりもします。
偉人伝を読むような気分となり、
内容評価は
、
値段は
。
現実にどれほど役立つかは、結局は個人次第で、お勧め度は、
とします。
July26.2012(N)
No.94
日本人アスリート名語録
もうすぐ開催されるロンドンオリンピック関連の文庫本。
収録されている大半が陸上、水泳、柔道などオリンピックに関係する種目の人々であるが、一部プロ野球などの語りも収められている。
なぜか、こころに響いたのはラグビーと野球からの言葉であった。
自分の年齢ためか、新日鉄釜石の日本選手権7連覇に関連した松尾雄治さん、谷藤尚之さんらの言葉が胸を打ちます。
目一杯の努力をして「ライバルは自分自身なんです。」と言ってみたい。
ただ、一番心に残ったのは、桑田真澄さんの「努力には表と裏があって、裏の努力をするようにした。」で、
直接関係のないところで決して手を抜かず、自分に変化が訪れるのは信じる強さでした。
内容評価は
、
値段は
。
言葉は一流の人々のものであっても、価値は受け取り側の値打ちで決まるのでしょうか、お勧め度は、
とします。
July25.2012(N)
No.93
無縁社会
2年前の1月に放送され、菊池寛賞を受賞した「無縁社会—無縁死3万2千人の衝撃」の書籍化。
つながりのない社会、縁のない社会に生き、無縁仏として死んでいく数多くの人々にスポットライト当て、過去に遡っていくことで、なぜ「無縁」なのかを知る。
明日は我が身かもしれない、という暗い気持ちになってしまう。
年金問題に端を発し、「消えた高齢者」が3百人以上いることが解ったり、
所在の不明な子どもがいるという現在のミステリーも最近がマスコミを騒がしたことも記憶に新しい。
無縁社会から決別し結縁社会に変化できるかは、地方の社会福祉に関係するものの共有される問題意識かもしれない。
内容評価は
、
値段は
。
家族というものを個人として、また、医療人として考える上では、暗くはなるが必要と思われ、お勧め度は、
とします。
July24.2012(N)
No.92
子どもが眠ったあと1分間だけ読む本
子どもがいる女性がいかに自分の時間を作るか、を知ろうとして購入した一冊。
著者が有名人で、厚生労働省の「健康大使」であったり、医師でありながらジャズシンガーであったりと知らずに購入して恥ずかしい思いをしました。
また、ハウツウ本かと誤解して読んだのですが、しっかりした人生本でした。
「いつも元気でなくていいのですよ。」とか「人間には波があります。不調の時を受け入れることは大切なことです。」とか、
ドキッとする言葉がちりばめられています。疲れたときには横になってリラックスしたいときに、うってつけかも知れません。
内容評価は
、
値段は
。
男女を問わず読めるもので、医療とはほとんど無関係ですが、心のサプリメントとして良いかもしれません。お勧め度は、
とします。
July23.2012(N)
No.93
創傷・熱傷ガイドライン
昨年から今年かけて日本皮膚科学会雑誌に掲載された6種類のガイドラインを書籍化し一冊にまとめたもの。
インターネット上では個別に無料でダウンロード可能であったと思います。確認下さい。
内容は「褥瘡診療ガイドライン」、「糖尿病性潰瘍・壊疽診療ガイドライン」、
「膠原病・血管炎に伴う皮膚潰瘍診療ガイドライン」、「下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン」、「熱傷診療ガイドライン」と総論からなっています。
ガイドラインの形式に慣れた方には300ページ弱の本ですが、通読にはそれほど困難ではありません。
新しい知識を得るためというよりは、今の立ち位置を確認するという意味合いが強い一冊です。
創傷処置、とくにラップ療法などに強い関心がある方には、それほど分量が割かれている訳ではなく、がっかりされるかもしれません。
内容評価は
、
値段は
。
専門医でなければ本書籍を全体で活用することは少なく、お勧め度は、
とします。
July22.2012(N)
No.92
Drのための「知ってトクする」診療所レセプトQ&A101
最近病院勤務ではDPC対応病院での経験が主となっている現在、余りレセプトを気にされて働かれている方は少ないのでは、と思われる。
診療所をベースに、病院勤務からの転身時の留意点を含め、101の基本を紹介した書籍である。
もちろん、2012年の改定診療報酬に準拠されている。
著者は医療事務のプロであり、内容は保険診療の基礎知識から、ルール、診療報酬請求のしくみに進み、次に各論に入り、文書作成の費用などに触れています。
知ってそうで、勘違いしている内容や全く知らなかったものまでありますが、実感として抱くのは、医師は「点数」に基本弱いという自覚の再認識でした。
以前ほどはうるさく言われなくなったレセプト点検ですが、お金のかたまりであることは変わりなく、
内容評価は
、
値段は
。
でも、やっぱりこの手の本は読む本ではない、という感覚が強く、お勧め度は、
とします。
July21.2012(N)
No.91
「判断力」を強くする
あとで悔やむことのない方針決定のための指針、「判断力」をつけるためのブルーバックスの一冊。
著者自身が過去に犯してきた数々の判断ミスから得られた教訓を凝縮させた反省の結晶からできたもの。
自分に選択権がない分岐点では才覚のケースを想定し、自分に選択権がある分岐点では最善のケースを選ぶなど、
解りやすく分岐点の大原則が紹介されている。
ただ、一冊を通じて解りやすさ、読みやすさが強調され、余り蘊蓄に富んだものではない。
この手の本をよく手に取る、結構すれっからしの読者にはもの足らない仕上がりになっている。
内容評価は
、
値段は
。
時間つぶしには良いかもしれませんが、何かを求めようして読まれるべき本とは思いにくく、お勧め度は、
とします。
July20.2012(N)
No.90
高齢者の転倒予防ガイドライン
寝たきりの3番目の原因である転倒骨折のガイドラインについての書籍。
自宅で転倒すれば自己責任、病院で転倒すれば医療機関の責任でリスクマネージメントの対象という固定概念からの脱却と予防のために科学的アプローチの確立を目指して策定されたものである。
まずは転倒スコアという評価法が紹介されている。
つぎにこれを用いての調査結果により従来危険因子として常識とされた「段差」の存在は転倒には無関係という衝撃的な事実に繋がっていく。
「高齢者の転倒は疾患であり、事故ではない。」という理解を10年間の研究班の集大成として書かれた本書籍は、転倒に「痛い目に遭った」方には必読の一冊となります。
内容評価は
、
値段は
。
内容は読みやすく、福祉関係の利用については版権を気にせず可能と明記されており、お勧め度は、
とします。
July19.2012(N)
No.89
新版 論理トレーニング
東京大学教養学部の教授が大学の講義で使用することを想定して書かれた「哲学教科書シリーズ」の一冊。
論理学を学ぶのであれば、と友人に薦められ購入。
ただ、今回紹介するには適切ではないかも。正直、最初から最後までよく解らなかった。理解しようとする意志が弱かったのかもしれないが。
大学の教養で学ぶものらしく、解説と練習問題、回答が順次記載されており、論理とは、接続の論理、論証、演繹と進み、最後は議論を作る、で締められている。
ゆっくり時間をかけて学習するスタイルの内容を通読で理解しようとする当方の見込みが甘過ぎ、自分の能力を過信した結果であった。
内容評価は
、
値段は
。
当方には評価する資格がないが、一度論理学にチャレンジされる方への参考までに、お勧め度は、
とします。
July18.2012(N)
No.88
「新型うつ病」のデタラメ
新型うつ病を従来型うつ病と対比させ、専門医が一般書として理解しやすいように解説した書籍。
ただの解説書ではなく、社会問題化したこの病気についての考え方と実態を、経験を交え述べている一種の人生指南書である。
「彼女に振られたので求職したい」と受診した若者がうつ病の診断を希望し、傷病手当金を請求し、最後には障害年金の書類作成を依頼してくる、
といった顛末、流れが分かりやすく書かれており、内部事情に詳しい人間であれば恐ろしくなるはずである。
「一体無理をしないで一人前になった人などいるでしょうか」という著者の問いかけが当を得ており、
「何でも人のせい」という風潮の元、「何でも病気」にしてしまうことが利益につながる現実が見方によってはホラー映画のように感じる。
内容評価は
、
値段は
。
広い意味でうつ病を扱わない分野はないと思われ、現実はみんなが知る必要があるとすると、お勧め度は、
とします。
July17.2012(N)
No.87
反論の技術 その意義と訓練方法
オピニオン叢書の一冊であるが今から20年近く前の書籍である。
学校教育での教員向け教材として作成されたものらしく「教師のための」というフレーズが目につく。
ディベート、反論、詭弁などを勉強しようとすると必ずと言って良いほど引用されており、チェックために購入。
内容は「議論指導における反論の訓練の意義」と目次の最初に現れる言葉に象徴されているように、教科書的に配置され、
理論から訓練があり方、最後には教材についても触れられている。
教育という言葉は入ると、こうなるかという一種の典型例にも感じた。
ただ、内容は決して古くなく、読み応えたっぷりである。
ただ、後で出版された同じ著者による新書が分量、内容ともにさらに読みやすいため、まずはこちらをと、お奨めした。
内容評価は
、
値段は
。
「反論」は結局、訓練、実践が必要ということになることが分かり、やはりという気持ちで、お勧め度は、
とします。
July16.2012(N)
No.86
緊急度判定支援システムJTAS2012ガイドブック
緊急度は評価し、時宜を逃さない適切な医療サービスを提供する救急医療体制の要であるトリアージのあり方を救急関連の4学会が合同で作成したガイドブック。
以前翻訳出版されたカナダの緊急度判定支援システムの日本版である。
研究コースでのガイドブック扱いを想定して書かれており、良い意味で理解しやすい形態となっている。
逆に言えばテキストとして使用するには索引もなく、かなり無理があります。
通読して概要をつかむ一冊ということになります。
救急のスタッフが人的資源として一定量存在する前提で書かれているように思われ地方の中小病院で本書籍がすぐ参考と成るかは難しいところです。
内容評価は
、
値段は
。
現時点で救急医療になにがしかの関わりのある方にはトリアージについては知っていないとどうしようもない面があり、お勧め度は、
とします。
July15.2012(N)
No.85
論より詭弁 反論的思考のすすめ
5年前の出版とあるが医療倫理を勉強する上で論理学を学ぶ必要が生じ手に取った一冊。
会議で議論があるときに反論する力をつけることで何かトクができないという純粋・素朴観点から出発しており、
著者の本音が分かりやすく、かつ、怒っているのではと勘ぐってしまうような書き方となっている。
議論は対等の立場でできる友人との会話のようなものばかりでなく、偏った力関係の中で議論することが現実である以上、
いろんな論理的な思考力・テクニックが当然必要とされる。
一言で言うと「詭弁を弄する」方法と解説を丁寧に教えてくれる書籍である。
伝統的虚偽論での「多問の虚偽」など、どこかで聞いた内容が散見され、非常に読みやすい内容となっている。
内容評価は
、
値段は
。
どうしてもナナメから見た本という印象が強くなってしまい、読み手が限定されてしまうかも知れない。お勧め度は、
とします。
July14.2012(N)
No.84
救急医療における精神症状評価と初期診療 PEECガイドブック
日本臨床救急医学会の「自殺企図者のケアに関する検討委員会」が編んだガイドブック。
本書は救急外来、救急病棟、救命センターの医療スタッフ、とくに研修医と看護師を対象に、精神科医がいない状況、
少なくとも翌朝までの精神科的症状を呈する患者への、安全で患者にとっても安心な標準的初期診療を提供できることを目的としたものである。
最終的にはOSCE形式での学習が想定されているが、十分通読に耐える内容である。
実際の患者対応を含め自殺関連問題が主に扱われておるが、
精神科救急時の拘束など医療安全についての検討やケースシナリオで取り上げられている過換気症候群など、
他では余り言及されていない内容を読め、非常にありがたい。
これもコース開催を目的にしたガイドブックであることの利点か。
内容評価は
、
値段は
。
興味のない方にも部分的に必ず役立つと思われ、お勧め度は、
とします。
July13.2012(N)
No.83
感性の限界
「理性の限界」、「知性の限界」から「感性の限界」へと進んできた仮想ディベート形式の新書シリーズ第三弾。
今回の副題は、不合理性、不自由性、不条理性であるが、私の頭では一回読んだ程度からはどれがその三つに当たる箇所かは分からなかった。
多分、3冊目にして最初からちんぷんかんぷんだったというのが本音であり、本書に適した、良い読み手ではなかったであろう。
もちろん、半分は負け惜しみであるが、カーネマンの行動経済学やドーキンスの生存機械論などは知ってもいたし、
本書でも理解しやすい内容であったが、局所ではなく全体の流れに入っていけなく、非常に苦しみながら読みとおす結果となった一冊である。
本来であれば内容にコメントする立場、能力を有しないことになるが、ひとまず、
内容評価は
、
値段は
。
根拠のない自分個人にとっての偏見のみであるが、お勧め度は、
とします。
July12.2012(N)
No.82
病院総合医の臨床能力を鍛える本
カイ書林が発行する「ジェネラリスト・マスターズ シリーズ」の一冊であり第8巻。
洛和会音羽病院総合診療科の宮下先生が単著の書籍である。
従って、宮下先生の考え、タイトルのとおり「総合診療医」について、そして、現在の音羽病院の診療実務が分かりやすく書かれている。
同じ関西圏に住むものとして、院長の松村先生、今回も巻頭で「推薦のことば」を書かれている、が率いる総合診療医の集団の活動を、
興味をもって眺めてきたが、良い意味、その実像が目の前に見えてくるような本である。
本書は病院総合医について書かれたものであるが、「大リーガー医」から現在まで松村先生たちが行ってきた軌跡を、
一つのスタンダードとして確認したい方には是非とも手にとって読んでいただきたい一冊となっている。
内容評価は
、
値段は
。
診断推論なだ非常に興味深く読める箇所もあるが、必ずしも病院総合医の網羅的な書籍ではなく、お勧め度は、
とします。
July11.2012(N)
No.81
知性の限界
知性の限界を仮想ディベート形式で、副題にある不可測性、不確実性、不可知性から述べた一冊。
前著の「理性の限界」から2年後に発行された。
今回もオビの「ファイヤアーベントは警告するー理性よ、さらば!?」という言葉に最初から圧倒され、
ウィトゲンシュタイン、ポパー、ファイヤアーベントという3人の巨人に本のなかで順番に会うことになる。
「おわりに」で大槻先生とのやりとりに触れられているが、内容はハイレベルであり私の頭でははち切れてしまうボリュームであった。
知的好奇心があるものを刺激したいのだろうが、2冊目の本書でも自分には「知性」はないのかもと感じてしまった。
あと一冊、現代新書のシリーズに残っており、へこたれず挑戦するつもりだが、ひとまず、
内容評価は
、
値段は
。
それこそ、ファイヤアーベントのいう「何でもかまわない」という姿勢が本書は読まれるべきなのかも知れず、お勧め度は、
とします。
July10.2012(N)