泌尿器科
主な治療ロボット支援下手術 一覧に戻る
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1)前立腺癌
当院では2019年8月から手術方法としてロボット支援手術(ダ・ビンチ)を年間60件程度行っています。当院ではロボット支援手術を行う資格を持った医師が3名(玉田、呉、香山)、そのうち玉田と香山は他の医師を指導できる資格(泌尿器内視鏡・ロボティクス学会プロクター)をもち、玉田はロボット外科学会認定の国内A級ライセンスも取得しています。
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通常、この手術を行うには頭を25度下げた状態で行いますが、脳疾患の既往がある、緑内障を有する症例などでリンパ節郭清を必要としない患者さんに対しては、頭を5-10度しか下げない後腹膜アプローチによる方法も行っています。
手術時間は2.5時間(リンパ節郭清なし)から4時間(リンパ節郭清あり)で、出血量は100ml程度、輸血を要することはほとんどありません。
この手術のポイントはできるだけ正常な尿道を多く残すことにより術後尿失禁の合併症も軽減させることです。また、癌が前立腺のどの部位にあるかによって違いますが、右と左にある神経血管束をどちらかもしくは両方を温存することで尿失禁を予防したり、勃起機能を保てる可能性があります。
ロボット特有のアーム(手)によって、狭い骨盤の奥で前立腺を摘出した後の尿道と膀胱を吻合する技術は、術後の尿道バルーンを早期に抜去することが可能で早期退院につながっています。
当科では、術後から5日目には尿道カテーテルを抜去し、6-7日目には多くの患者さんが退院されます。
その後は、PSAを測定して再発していないか経過観察します。
手術説明書はこちらからダウンロードできます。
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2)腎細胞癌
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他臓器に転移がない場合、腎臓を摘出する、もしくは腫瘍だけを切除する手術を行います。
癌が4cm以下(病期T1a)である場合は、腎部分切除が適応となります。腫瘍の位置や形状により7cm以下(病期T1b)まで腎部分切除の適応となることがあります。
当院では腎部分切除は、ダビンチを用いたロボット支援手術で行います。おなかに操作用のポートを6つ開け(傷の大きさはカメラ挿入部が2cmで、他は1cm程度です)手術を行います。
手術は2-3時間、出血は100ml程度で輸血を要することはほとんどありません。
当院ではロボット支援手術を行う資格を持った医師が3名(玉田、呉、香山)、そのうち玉田は他の医師を指導できる資格(泌尿器内視鏡・ロボティクス学会プロクター)とロボット外科学会認定の国内A級ライセンスも取得しています。
手術説明書はこちらからダウンロードできます。
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腫瘍が7cmを超える場合は、腎臓を腫瘍と一緒に全摘除します。ほとんどの腎摘除術はロボット支援腹腔鏡下で行います。おなかに操作用のポートを4つ開け(傷はカメラ挿入部が2cm程度ですが最終的に腎臓を取り出すためにこの傷は5-6cm程度まで広げます、他は1cm程度の傷です)手術を行います。当院ではロボット支援手術を行う資格を持った医師が3名(玉田、呉、香山)、そのうち玉田は他の医師を指導できる資格(泌尿器内視鏡・ロボティクス学会プロクター)とロボット外科学会認定の国内A級ライセンスも取得しています。
当院には腹腔鏡下手術を行うための技術認定を有する医師も3名(玉田、呉、香山)在籍しており、ロボット手術も腹腔鏡手術も安全に手術を行うことが可能です。
腫瘍が極端に大きい場合、下大静脈などに進展している場合、隣接臓器に浸潤している場合などは開腹で手術を行います。
手術説明書はこちらからダウンロードできます。
3)膀胱癌
手術はロボット支援膀胱全摘除術を行っています。当院ではロボット支援手術を行う資格を持った医師が3名(玉田、呉、香山)、そのうち玉田は他の医師を指導できる資格(泌尿器内視鏡・ロボティクス学会プロクター)とロボット外科学会認定の国内A級ライセンスも取得しています。
手術時間は7時間程度、出血量は200ml程度で輸血を要することはほとんどありません。
おなかに操作用のポートを6つ開け(傷の大きさはカメラ挿入部が2cmで、他は1cm程度です)手術を行います。尿路変更の為に、腸管を切り出す操作に関しては、小切開(カメラ挿入部の傷を5㎝程度まで広げる)をおいて行います。
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膀胱全摘を行うと、尿路の再建が必要となります。 尿路の再建には大きく分けて二つの方法があります。
【非失禁型】
回腸で膀胱のような袋を作成し、それに尿管、尿道を吻合し、従来通りに排尿できるようにする手術です。ストーマを必要としませんが、代用膀胱ですので、必ずしも自力で排尿できるとは限らず、自己導尿が必要となる場合もあります。癌が前立腺近くに浸潤していなければこの手術が可能です。
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【失禁型】
回腸を20cmほど遊離して、それに尿管をつなげ、回腸末端を体外に出しストーマを形成する手術です(回腸導管)。尿は常に流れ出るためパウチと呼ばれる集尿袋を付ける必要があります。
回腸を用いず、尿管を直接体表に出してストーマとする尿管皮膚瘻という手術がありますが、尿管は脆弱であるため、尿管が狭窄する場合があり、回腸導管を作るリスクの高い高齢者や合併症を有する患者様に行われる手術です。
手術説明書はこちらからダウンロードできます。
4)腎盂、尿管癌
腎盂外や尿管外に腫瘍が進展している場合は膀胱癌と同様の抗癌剤治療を行いますが、そうでなければ、腎尿管全摘術(腎臓、尿管、膀胱の一部を摘出)を行います。
手術は基本的にはロボット支援腹腔鏡下で行います。手術時間は3-4時間、出血量は200ml程度です。